中学3年間不登校でも、高校は行ける?
中学3年間不登校でも、全日制高校や通信制高校を受験し、進学できます。
入試で内申点(通知票)を重視する高校もあれば、重視しない高校もあるからです。
中学校で不登校だった子が高校を選ぶ時には、自分自身をよく観察したり、自分のことをよく知ることが大切です。
また、学力や偏差値だけで高校選びをしてしまうと、高校進学後にまた不登校になる可能性もあります。
自分に合った高校を探すにも、「自分」について考える機会がないと高校選びが難しくなります。
高校選びの時には自分自身ともじっくり向き合うことが大切です。
中学3年間不登校だった中学生が高校選びをするときに考えてほしいポイントや保護者の方へのアドバイスを紹介します。
中学生の不登校は増えている
文部科学省では、不登校の定義を「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)をいう。」としています。
病気や経済的な理由以外で不登校になる原因は、いじめや学業の不振、家庭の問題などさまざまです。
中学生の不登校の生徒数は、年間193,936人で中学生全体の6%が不登校です。
10年ほど前から不登校生徒数は増え続け、10年前と比較すると約10万人増えています。(令和4年度のデータ)
参照:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
不登校は引きこもり・ニートになる?
不登校から引きこもりやニートになるのではないかと不安になる方も多いですが、引きこもりの原因は不登校であるとは言えません。
ひきこもりが始まる時期は学生時代だけでなく、社会人や中高年になってからのこともあります。
引きこもりは、社会でストレスを感じ疲労感や挫折感をかかえることから始まることがあります。
しかしそれだけでなく、もともと精神疾患や知的障害があり、社会にうまく適応できないことが原因になる場合もあります。
引きこもりの原因は不登校であるとは言えません。
参照:愛知教育大学「ひきこもりの実態と社会的背景・要因の理解」
中学生が不登校になる原因や理由は?
文部科学省の調査によると、多くの中学生が不登校になる原因や理由がわかります。
- 学校の先生
- 友人関係
- 勉強がわからない
- 体調の問題
- 家庭の問題
- 生活リズムの乱れ
- 原因や理由はわからない
不登校の原因や理由は本人でもわからないことがありますが、原因や理由を知ると進学先の高校選びに役立てることができます。
自分自身はなぜ不登校になっているか考えてみることで、自分自身の得意や苦手を理解するきっかけになります。
これから高校生になるために、どんな環境だったら高校生活を送れるのか、考えてみるきっかけにしてください。
学校の先生が原因や理由で不登校になる
不登校になる原因として1番多いのは学校生活の問題です。
中には学校の先生と合わないストレスで不登校になる子がいます。
こわい先生がいる、先生から理不尽な扱いをされるなど、本人にとっては耐え難い経験が不登校につながることもあります。
しかし、学校の先生と合わなくても明らかないじめやパワハラがなければ、すぐに担任を変更したり、転校をしたりするのは難しいでしょう。
解決策がみつからず、そのまま不登校が続くことがあります。
学校の先生の中にも「先生らしくない人」(というと語弊がありますが)もいます。
友人関係が原因や理由で不登校になる
学校生活で友人関係がうまくいかないことが原因で不登校になる子もいます。
コミュニケーションが難しいと感じていたり、いじめに遭っている、クラスの雰囲気が苦手など理由はさまざまです。
中学校内での友人関係がうまくいかなくても、中学生の間は新しい人間関係を築くことが難しく、不登校になることもあります。
高校に進学して環境が変われば、学校に通うことができる子もいます。
自分のペースで人と関わることのできる通信制高校や、似たような環境の生徒が集まりやすい高校に進学するのも良いでしょう。
友人関係がうまく行っていないわけではないけど、学校の友達と時間を過ごしているとひどく疲れてしまう子もいます。
自分のペースで人と関われる環境で、少しずつ疲れにくくなるようにもできます。
勉強がわからなくて不登校になる
中学の勉強についていくことができず、不登校になることがあります。
中学に入ると勉強は一層難しくなり、周囲と比べて勉強ができないことが定期テストの点数で明らかになります。
勉強がわからなくなると、授業中に座席に座っていることも苦痛になり、授業妨害などをしてしまうことも。
先生からも「サボっている」という目で見られると、さらに学校に居づらくなります。
教科の先生の指導力不足もあると思いますが、大人数の授業では一人一人の学力レベルに合わせることができないという現実問題もあります。
学校の勉強がわからなくなると学校がつまらなくなっていきますが、コミュニケーションが得意なタイプの子の場合、勉強をサボっていると思われがちで、先生との折り合いが悪くなるという悪循環になることもあります。
体調の問題が原因で不登校になる
登校しようとすると吐き気や腹痛の症状がでるなど、体調の問題が原因で不登校になることもあります。
本人の意思に関係なく、体調不良になることもあります。
例えば、起立性調節障害になると朝に起きられなかったり、眠気におそわれたりして学校生活を送ることができなくなります。
体調の問題が表れているのに、無理に登校を続けると回復するのに長い時間がかかる場合があります。
高校進学を希望するのであれば、登校回数の少ない通信制高校など体調を考慮しながら卒業できる高校を選ぶと良いでしょう。
通信制高校なら、最初は体調に合わせて高校卒業を目指す生活スタイルで、体調が回復してきたら臨機応変に対応することもできます。
家庭の問題が原因で不登校になる
家庭の問題が原因で不登校になることがあります。
例えば、両親の離婚やリストラによる家庭環境の変化や家族間の不和により、ストレスがたまり精神的に不安定になることがあります。
思春期は親子のコミュニケーションがうまくいかないことはありますが、敏感な時期でもあるので子供の気持ちに寄り添ってあげることが大切かもしれません。
中高生になると保護者の方には生意気なことを言ったり、逆に何も言わなかったり、親子関係もいろいろ大変だと思います。
他人である私たちには色々話してくれたりもするので、第三者もうまく利用しながら乗り切ってほしいと思います。
SNSやインターネットゲームで生活リズムが乱れたことが原因で不登校に
SNSやインターネットゲームを夜遅くまで利用していると生活リズムが乱れ、朝起きることができなくなります。
登校時間に起きられないことが不登校につながります。
また、翌日学校に行かなければならないストレスや不安を紛らわすために夜遅くまでSNSやゲームに没頭してしまう子もいます。
ゲーム依存が心配されるなど家庭で解決が難しい場合は、専門家に相談し生活習慣を改善していく必要があります。
原因や理由はわからないことも多い
不登校になる原因は、学校・家庭・本人のいずれかにあると考えられています。
しかし、不登校になる原因が複雑に絡みあっていて、本人が不登校の原因を自覚していなかったり、うまく説明できなかったりすることもあります。
理由を知られたくない子もいます。
学校に行けない理由がはっきりしなくても、サボっているというわけではありません。
慎重に子どもの発言や体調を観察していく必要があります。
中学校では不登校だったけど高校にはいきたいという子も多いです。
高校進学はできるので、安心して自分自身について考える時間を作ってみてほしいと思います。
中学3年間不登校だったら親はどうすればいい?
文部科学省が不登校の子への対応について、5つの視点を提案しています。
- 将来の社会的自立に向けた支援
- 連携ネットワークによる支援
- 将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割
- 働きかけることや関わりを持つことの重要性
- 保護者の役割と家庭への支援
とっと分かりづらいので、私なりの解釈で簡単に説明します。
本来は将来の社会的自立に向けて学校、家庭、地域の中で子どもが育っていくのですが、不登校になっても将来の自立に向けてできることがあるという視点です。
保護者の役割としては、家庭内で子どもが安心して暮らせるような働きかけになります。
- 子どもの話を真剣に聞き、相談しやすい環境を作る
- 中学の担任の先生やスクールカウンセラーに相談する
- 教育支援センターなど不登校支援団体に相談する
- 心療内科などの医療機関に相談する
- 親も思い詰めずにリフレッシュする
子どもの話を真剣に聞き、相談しやすい環境を作る
子どもの話を真剣に聞き、相談しやすい環境を作ることが大切です。
中学3年間不登校で、おそらく今までも子どもの話を聞こうと努力されてきたのではないかと思います。
もしかしたら話を聞こうとしても話してくれないという状況があったかもしれません。
子どもの気持ちがわからないことはつらいですが、それでも諦めずに子どもの話を聞き続けることが必要です。
子どもは中学3年間不登校でも日々成長しています。
中学3年間で、考え方や将来の希望が変わっているかもしれません。
今どんなことを考えているのか話ができる関係を築きましょう。
中学の担任の先生やスクールカウンセラーに相談する
不登校やその後の進路については、親子だけでは解決することが難しい場合があります。
中学の担任の先生やスクールカウンセラーに相談し、連携をしながら解決策を探しましょう。
親も専門家に相談することで不安やストレスがやわらぐことがあります。
先生やスクールカウンセラーは、不登校の子との関わり方や進路の選択の知識や情報をもっているはずです。
周囲に相談することで親がさまざまな情報を知り、子どもが進路を選ぶサポートに役立ちます。
教育支援センターなど不登校支援団体に相談する
学校以外にも不登校の相談ができる不登校支援団体があります。
例えば、教育支援センターは教育委員会などが運営する公的機関です。
不登校の子の学校復帰や社会復帰につながる支援をする団体で、子どもだけでなく親へのカウンセリングもおこなっています。
教育支援センターでは、不登校の相談だけでなく、発達の心配ごとや進路の相談も可能です。
学校が対応しきれない問題や、学校に相談しにくいことを話せる場なので、新しい解決策がみつかるかもしれません。
心療内科などの医療機関に相談する
不登校になると、精神的に不安定になったり、眠れないなどの身体症状が出てくることもあります。
学校や不登校支援団体への相談では解決できない身体的・精神的な症状がある場合は、心療内科などの医療機関を受診することも一つの手段としておすすめします。
心療内科の受診はハードルが高いと感じる方もいるかもしれませんが、思春期外来など中学生を専門としている病院もあります。
精神疾患はできるだけ早く医療につながることが大切です。
早くから適切な治療や支援をすることで自己肯定感が下がったり、重症化することを防ぐことができます。
親も思い詰めずにリフレッシュする
子どもの不登校が続いたら、親も思い詰めずにリフレッシュすることが大切です。
子どもが不登校になると自由に外出することも遠慮がちになり、仕事も制限されます。
子どもが不登校になったことで自分を責めたり、不安になったりするでしょう。
子どもの元気を取り戻すためには、親が心身ともに健康であることが大切です。
親子共倒れにならないためにも、ときには子どもと自分を切り離して考え、自分の好きなことに時間を使ってリフレッシュしてください。
中学3年間不登校だと高校受験はどうなる?
中学3年間不登校でも高校受験をし進学できます。
ただし、高校受験では中学での内申点が合否に影響することがあり、進学が難しい高校もあります。
特に公立高校は内申点を重視する傾向にあります。
中学3年間不登校でも受け入れをしている高校は、主に私立高校、通信制高校、定時制高校です。
それぞれ特徴があるので、進学後に学生生活を継続できる高校を選ぶことが大切です。
中学3年間不登校でも受け入れをしている高校①私立高校
中学3年間不登校だった子が全日制高校を希望する場合は、公立高校よりも私立高校の方が合格の可能性があります。
私立高校は公立高校と違い、独自の方法で入試をおこない、内申点が合否に影響しない高校もあるからです。
入試の結果だけで合否を判断する高校もあります。
ただし、私立高校は中学と同じく毎日登校することになるので継続して登校できるかどうかは良く考えることが大切です。
中学での不登校の理由によっては毎日登校するのが難しいことも想定できます。
中学の先生に相談し、不登校の子を受け入れた実績のある私立高校や入試に内申点が影響しない私立高校を受験すると良いでしょう。
中学3年間不登校でも受け入れをしている高校②通信制高校
通信制高校は、中学3年間不登校だった子も進学しやすい高校です。
通信制高校により入試の内容は異なりますが、不登校への理解がある通信制高校は多いです。
特に私立の通信制高校は不登校に対するサポートがあることも。
全日制高校と同じように3年で卒業もできます。
通信制高校での学校生活は、毎日登校できる学校もあれば、年数日の登校で単位が取れる高校もあります。
オンラインで対応できる通信制高校であれば、登校に不安がある子も安心です。
さまざまな理由で中学で不登校になる子がいますが、幅広く対応できるのは通信制高校です。
中学3年間不登校でも受け入れをしている高校③定時制高校
中学3年間不登校だった子は定時制高校に進学するという選択肢もあります。
定時制高校は昼間は仕事をしている人などさまざまな人が在籍しています。
定時制高校も毎日通学しますが、時間は1日4時間ほどで全日制高校よりも短いです。
人数も全日制高校と比較して少数です。
中学での不登校の理由や高校に希望する条件が合えば、定時制高校を検討するのも良いでしょう。
中学3年間不登校で高校受験をする際の注意点
中学校で不登校だった場合も高校進学は可能です。
高校受験に向けた注意点が2つだけあります。
- 高校受験に向けての学力はどうする?
- 不登校の理由は高校生活にどう影響する?
高校受験に向けての学力はどうする?
行きたい高校の入試に学力試験がある場合には、高校受験に向けての学力アップが必要になります。
まずは行きたい高校の入試について調べたり、今の実力と、行きたい高校のレベルを比較します。
塾に行ったりできるのがベストですが、YOUTUBEなどで受験対策を調べたりもできると思います。
親子で勉強するとうまくいかない場合は、家庭教師など第三者のサポートを受けるとよいかもしれません。
受験勉強を通して基礎学力をあげておくことは高校生活をスムーズにスタートさせることにもつながります。
不登校の理由は高校生活にどう影響する?
中学での不登校の理由は高校生活にも影響することがあります。
中学と同じような環境の高校を選ぶと、また不登校になってしまう可能性はゼロではありません。
高校を卒業するためにも、不登校の原因を解決できる高校を選んだ方がよいです。
集団生活が苦手なら登校回数の少ない通信制高校や少人数の定時制高校などが選択できます。
通信制高校や定時制高校でも全ての人間関係がなくなるわけではなく、自分のペースに合わせて高校生活を送ることができます。
まとめ
中学3年間不登校でも受け入れが可能な高校を受験すれば、進学できます。
私立高校、通信制高校、定時制高校などの選択肢があるので、早めにそれぞれの情報を集めていきましょう。
不登校の原因を解決できない高校に入学してしまうと、また不登校になる可能性があります。
中学で不登校だった原因を解決し、継続して通うことができる高校を選ぶことが大切です。