「学校の先生と、まともに話せるのだろうか」
「自分の気持ちや希望を、人に伝えられるようになるのだろうか」——小学校の途中から学校に行けていないお子さんを持つ保護者の方から、こうした不安の声をうかがうことがあります。
勉強の遅れよりも先に、「そもそも人とコミュニケーションが取れるのか」という点が心配になるのは、決して珍しいことではありません。
今日は、当校に入学した当初はほとんど言葉を発しなかった生徒が、少しずつ自分から話せるようになっていった、実際の学び直しの様子をご紹介します。

なぜ「話せるかどうか」がこれほど不安になるのか
小学校の途中から学校に行けていない期間が続くと、勉強の遅れと同時に、他人と話す機会そのものが減っていきます。
先生に質問する、自分の希望を伝える、困っていることを言葉にする——こうした経験を積む場が少ないまま時間が過ぎてしまうことは、珍しくありません。
保護者の方からすると、「勉強についていけるか」以前に、「そもそも先生と会話できるのだろうか」「自分の意思を伝えられるようになるのだろうか」という不安が先に立つことがあります。
人とのコミュニケーションは、一朝一夕に身につくものではないからこそ、この不安は根強いものです。
当校では、いきなり多くを話せるようになることを求めていません。
まずは学習の時間の中で、先生と少しずつ言葉を交わす経験を積み重ねること——それが、伝えるべきことを伝える力を育てる、確かな一歩になると考えています。
実際の生徒の様子
当校に入学した当初、ほとんど言葉を発することができなかった生徒がいます。
学習内容について希望を尋ねても、普段は「特に希望はありません」と答えることが多い生徒でした。
先日、その生徒と算数のテキストに2ページ分取り組みました。前回学習した重さの単位換算の続きでは、目安として20分ほどかかるページを、5分ほどでスムーズに解き終えることができました。その後は分数のページに取り組みました。久しぶりの内容だったため、確認しながら一緒に考えて進めましたが、しっかりと取り組むことができました。
そして、この日は学習内容について「文章問題と分数、どちらに取り組みたいか」と尋ねたところ、生徒は自分から 「今日は分数をやりたいです!」 と教えてくれました。
いつもは希望を聞いても答えが返ってこないことが多かった中で、この日は自分の意思をはっきりと言葉にすることができた場面でした。
この様子から分かること
この出来事から分かるのは、「話せるようになる」ことは、大きな変化として一気に起こるものではなく、日々の小さなやり取りの積み重ねの中で、少しずつ形になっていくということです。
この生徒は、入学当初はほとんど言葉を発することができませんでした。
しかし、学習内容について繰り返し尋ねられ、答えても答えなくてもよい安心できるやり取りが続く中で、少しずつ「自分の希望を言葉にする」という経験を積んできました。
今回、「分数をやりたい」とはっきり伝えられたのは、その積み重ねの結果だと言えます。
大切なのは、最初から会話がスムーズにできることを求めるのではなく、「今日は答えなくてもいい」という前提のもとで、繰り返し声をかけ続けることです。
そうした関わりの中で、生徒は自分のペースで、伝えることに慣れていくことができます。
通信制高校・サポート校でできること
当校では、コミュニケーションの力を育てることも、学び直しの大切な一部だと考えています。
具体的には、次のようなことを日々の授業の中で行っています。
- 学習内容について、答えても答えなくてもよい前提で、繰り返し希望を尋ねる
- 生徒が話さない時間も、無理に埋めようとせず、そのまま受け止める
- 生徒が自分から発した言葉を、きちんと受け止めて返す
- まずは先生との1対1のやり取りの中で、伝える経験を積んでもらう
- 「話せた」という小さな変化を、次の学習にもつなげていく
まずは先生との会話ができるようになること——それで十分です。
当校では、そこから少しずつ、伝えるべきことを伝える練習を重ねていくことができます。
まとめ
小学校の途中から学校に行けていないお子さんが、人と話せるようになるかどうかは、多くの保護者の方が抱える大きな不安です。
今回ご紹介したように、日々の学習の中で少しずつ言葉を交わす経験を重ねることで、自分の意思を自分から伝えられるようになっていくことがあります。
当校では、そうした小さな変化を大切にしながら、学び直しを続けています。
相談のご案内
「うちの子は先生ともうまく話せないかもしれない」——そう感じている方も、まずは一度当校にご相談ください。
お子さんが今どのくらい人と関われる状態にあるか、無理のない形でお話をうかがいながら、これからの高校生活について一緒に考えます。
