「中学校からずっと学校に行けていない」
「家からあまり出られない」
そんなお子さんの様子を見ていると、勉強の遅れ以上に、
「この子はこの先、人とちゃんと関われるようになるのだろうか」
「人間関係を築けるのだろうか」
という不安を感じる保護者の方は少なくありません。
勉強を教え直すことはできても、心を開いてもらうことは簡単ではない——そう感じている方に、今日は当校である生徒に実際に起きた、ごく小さな出来事をご紹介したいと思います。
特別な出来事ではありません。
ですが、この小さなやり取りの中にこそ、学び直しにおいて大切なことが詰まっています。
なぜ「勉強の遅れ」より先に「人との関わり」が不安になるのか
不登校の期間が続くと、保護者の方はまず「勉強についていけるかどうか」を心配されます。
ですが、実際に心配なのは、「この子は先生や周りの人とちゃんと関わっていけるのだろうか」という点ではないでしょうか。
長く学校を離れていたお子さんにとって、人と話すこと、質問すること、自分のことを話すことは、久しく経験していないことかもしれません。だからこそ保護者の方は、「勉強を教えてもらう前に、そもそも先生と話せるのだろうか」という不安を抱えます。
当校では、学習指導の前提として、生徒それぞれに違うペースがあることを理解しようとしています。
無理に会話を引き出そうとするのではなく、勉強に取り組む時間の中で、自然に生徒の内面が見えてくるのを待つ——そうした関わり方を大切にしています。
実際の生徒の様子
先日、高校生のある生徒と、世界史のプリント課題に取り組んだときのことです。
その日は、間違いもなくスムーズに1単元分を終えることができました。積み重ねてきた学習の成果が、着実に形になっている場面でした。
そして、丸付けを待つ少しの時間に、その生徒はいつもプリントの端に得意なイラストを描いています。
この日描かれていたのは猫のイラストでした。
「猫好きなの?」と声をかけると、「猫好きです!飼っています!」と、生徒は自分から日常生活のことを教えてくれました。そして、飼っている猫の写真も見せてくれました。
課題の内容についてではなく、生徒自身のことについて、生徒の方から話してくれた——それだけの、ごく短いやり取りです。
この様子から分かること
この出来事は、一見すると「勉強の合間の雑談」にすぎないように見えるかもしれません。
ですが、学び直しという観点から見ると、次の2つのことが分かります。
ひとつは、学習内容が生徒にとって無理のないレベルに合っているということです。
間違いなく1単元分を終えられたのは、その生徒が「今、理解できるところ」から学習を積み重ねてきた結果です。
分からないところで止まってしまうのではなく、自分の力で解き進められる——この積み重ねが、学習への抵抗感を減らしていきます。
もうひとつは、先生との会話が、生徒にとって自然な形で生まれているということです。
「話してみて」と促されたわけではなく、余白の時間にイラストを描き、それをきっかけに自分から言葉が出てきました。
これは、勉強を教わる関係だけでなく、人と何気ないやり取りをするという、社会的な経験のひとつでもあります。
長く家庭の外で人と関わる機会が少なかった生徒にとって、こうした何気ない会話ができるようになることは、勉強の進み具合と同じくらい、大切な変化だと当校では考えています。
通信制高校・サポート校でできること
当校では、学び直しを「以前の学年に戻ってやり直す」ということだけでなく、「その生徒が今どこまで理解できているかを確認し、無理のないペースで積み上げていく」ことだと考えています。
そのために、以下のようなことを日々の授業の中で行っています。
- 生徒が現在どこまで理解できているかを、課題の様子から丁寧に確認する
- 以前学んだ内容を覚えているか、次の課題を通じて自然に確認する
- 「できた」ことをそのままにせず、きちんと言葉にして伝える
- 生徒が自分から話し出すタイミングを、急かさずに待つ
- 学習のペースだけでなく、生徒との距離の縮め方も、一人ひとりに合わせる
こうした関わりの積み重ねによって、「中学校から学校に行けていない期間が長い」「家からあまり出られない」というお子さんでも、高校卒業を目指して学習を続けていくことができます。
もちろん、すべての生徒が同じように進むわけではありませんが、その子のペースを尊重しながら学び直しを続けることが、当校の基本的な姿勢です。
まとめ
不登校の期間が長引くと、勉強の遅れだけでなく、「人とちゃんと関われるのか」という不安が大きくなっていくことがあります。
ですが、今回ご紹介したように、無理のないペースで学習に取り組む中で、生徒自身が自分から言葉を発する場面は自然に生まれてきます。
大切なのは、勉強を一気に取り戻そうとすることではなく、その子が今立っている場所を先生がきちんと理解し、そこから一歩ずつ積み重ねていくことです。
当校では、そうした関わりを通じて、高校卒業を目指す学び直しをサポートしています。
相談のご案内
「不登校が続いていて、勉強の遅れが心配」「人とうまく関われるか不安」——そうした思いをお持ちの方は、一度当校にご相談ください。お子さんの現在の状況やペースに合わせて、どのような学び直しができるか、一緒に考えます。
